白い翼と…甘い香り
なんで?
そんな目で
見ないでよ。
抑え込んだ物まで
見ようと
しないで…
「ねぇ
泣いてる理由、教えてよ。
聞きたい…」
最後の
「聞きたい…」
と言った言葉が
どうしてこんな優しい声を
出せるのだろうと思うくらいに
あまりにも優しすぎて
寄り添って来て
かすれたその声が心地よくて
大好きだと思ってしまって
ドアを開けて帰ろうとするのに
もっともっと
聞いていたかった。
だから玄関先で
ドアノブに手をかけたまま
その手を離せずにいた。
何だか
入ってはいけない部屋へ
入ってしまった
ここに居たらいけない
ドアを開けて出て行きたい
そう思う気持ちがあるのに
甘い香りが引き止めてる。
優しい言葉が
私を麻痺させるみたいに
心地よく響いて頭の中を
グルグルと回っていた。
ドアノブを掴んでいた
私の手を
ものすごく大きくて
暖かい和也の手が
大丈夫だよって
囁くみたいに
包み込んだ。
心を
包み込む
みたいに…