白い翼と…甘い香り

英語では
会話もろくに出来ない状況で

日常生活に
必要な物を買い足したり
良く分からない手続きとか

相変わらず忙しい主人は
アテにならなかったから
私が1人で走り回ってた。


こんな時
主人には会社があるから
ちゃんとやる事が決まっていて

それは日本での生活と
そう変わりなくて
少し羨ましいと思ったりもする


目的もなく連れてこられたって
思ってしまうから

私の方が実際は
大変だったんだね。


だけど少しだけの救いは
すぐ近所に
日本人の夫婦が住んでいて

年齢もよく似た奥さんと
友達になり
いつも良くしてくれた。


彼女は東京の人ではなく
私が行ったこともない
九州から転勤で来ているらしく

アメリカに来て
知らない地域の日本人と

触れ合える事が不思議で
でも、楽しかった。


私が住んでいた世界は
本当に狭くて小さいと
そんな事を実感する毎日。


アメリカまで来てしまえば
彼女が実家から送って
もらってるという
調味料や食材が
九州の味だとか関係なく

日本を思い出す
懐かしい味だと思い知る。

こんな広い世界の中に居たら
私が行ったこともない
九州の人でも

同郷だという安心感が
生まれてくるから不思議だった

日本のニュースが流れると
それは
どこの地域の出来事であっても

彼女と話してたらすべて
懐かしい故郷での話題に思えた

近くのスーパーで
すぐに買える日本の食材でも

彼女が分けてくれる
「めんたいこ」には敵わなくて

本物は
やっぱり本物でしかないと

気づく毎日…


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