白い翼と…甘い香り

ドレスの上から
コートを羽織り店を出た。

このまま家に帰り
たぶん時間通りに帰って来て
準備してる主人と

一緒にタクシーで
会場のホテルへ向かう。


別に
楽しみな出来事ではなくて

そんな事よりも

首元で暖かい
ショールが嬉しかったり

いつも肌身離さず持っている
お守りを
握りしめたりしてる。



お守りは
ドックタグと同じように

身体のどこかへ
つけていたかった。

でも、ペンダントみたいに
首から吊り下げてみると

まるで昔の映画で見た
ヤクザかテキ屋の
オジサンみたいで
自分でも笑ってしまった。


だから
いつもバッグの中に入れて
必ずどんな時も持ち歩いてる。

これが無いと
不安でたまらなくなるから

最近はいつも財布が
入ってるかどうかよりも
先に確認してた。


和也を想うと
切なくなるくせに

お守りを握りしめると
安心出来たりして

私の
精神安定剤みたいだった。


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