白い翼と…甘い香り
タクシーを待っていると
メールが届いて
「あと30分で帰って来ないと
間に合わないぞ」
たぶん着替えも済ませて
待ちくたびれてる
主人からだった。
「15分くらいで帰ります」
と返信した。
ここからは
10分くらいの距離だから
私の前で並んでる人が
3人乗り込んだ後でも
充分に余裕があると思う。
タクシーは少しの間隔で
いくらでも走って来てるから
大丈夫、そう思ってた。
今から向かうパーティー会場の
華やかさを思うと
少し気が滅入るけど
暖かなショールが
力をくれるようで
少しだけ小さな
抵抗が出来る気がした。
私がタクシーを待つ
大通りは人も多く
ちょうど週末の
夕方5時を過ぎた時間
仕事を終えたビジネスマンが
帰り道を急いでいる。
その時の私は
特に何かを、考えていた
訳ではなくて…
目を伏せるように
視線を落として
ふわふわのグリーンを
ぼんやり見てた。