白い翼と…甘い香り
少し怒ったような顔で
帰って来た主人が
「どうして来なかった?
電話にも出ないで
事故にあったかと
心配するじゃないか」
と、少し
焦るような言い方をした。
怒鳴られるかも知れないと
思っていた私が
拍子抜けするような声だった。
「行きたく、なかったの」
その言葉は思ったよりも簡単に
ハッキリと私の口から滑り出て
思ったことを
口に出さなきゃ伝わらないと
そう言った和也の
真っ直ぐな目を思い出した。
主人の目を見て
ちゃんと正面から話している。
自分の気持ち
言葉にするのは
本当に大切なんだね。
だけど黙ってしまえば
言えなくなる気がして
少し震える声で一気に喋った。
「日本に、帰ります。
ココに私の大事なモノは
1つも無いの。
アナタと一緒にいる意味が
分からないの。
今までは、それでも
大事にしようと思ってたの
私なりに必死で…
でも、自由に、生きたい。
自分の思うように生きたい。
アナタを
愛して、ない…」