白い翼と…甘い香り

~リカへ~

私が、仕事から帰るまでに
飛行機に乗りなさい。

昼前のチケットを
取っておいた。

予約番号を見せれば乗れるから
必ず今日中に帰りなさい。

仕事から帰ってきたとき
まだ居たら

別れないということに
するからな。


あのマンションは最初から
リカの名義で買ってあるから
あそこへ帰ればいい。

私の荷物は仕事場へ
送っておいてくれ。


もう5年も前からいつかリカが
ソレを言い出すんじゃないかと
予想してた。

その時から印を押してある書類
いつもの銀行の貸し金庫に
ずっと入れてあるから

リカの名前さえ書けば
すぐに離婚できる。

それで、いいか?



リカはずっと子供が欲しくて
出来ないと悩んでいたけど
本当の原因は私だったんだ。

それを、ずっと
言えなかった。

だからリカを
抱けなくなった。

気持ちがズレてしまったのは
私のせいなんだろうな…



これでもリカを
愛してたんだ。

不器用な愛し方で
悪かった。


幸せに
なれるといいな…



< 291 / 312 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop