白い翼と…甘い香り

少し、泣きそうだった。

短い手紙と航空券の予約番号
小さな銀行のカードが1枚
それだけしか置いてなかった。

私たちはきっと
本当に不器用だったんだね。

愛してるなら、そう
言ってくれれば良かったのに…

そんな言葉も言えないくらい
言い訳なんか出来ないくらい

アナタも私も
不器用だったんだね。

子供が出来なかったのは
どちらのせいでも
構わなかったのに…

言えば私が
離れると思ったの?

言ってくれれば
あの時からもっと向き合って
やり直せてたかも知れないのに

お互い
言い出せなかった言葉が
たくさんあったんだね。

伝えられなかった気持ちが
どこかで空回りしてたんだ?




別れの言葉はずっと前から
私が言い出すのを
待っていたような
そんな風に聞こえた。

自分からは
切り出すことは無かったけど

私が言えば、受け入れる
そういう気持ちで
いたんでしょう?


それも、アナタの
愛かも知れない。

諦め…なのかも知れないけど
でも最後に、暖かさを感じたよ

それが少し、嬉しかった。

出会った頃の
潔いアナタだったね。



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