白い翼と…甘い香り

それから次に
私はデパートに向かった。

宝飾品売場に向かい
プレートだけだったドッグタグに
似合う鎖を買った。

和也は鎖なんて
何本も持っていたけど

このプレートだって
和也が買った物だったから

せめて鎖くらいはセットにして
首へかけたかった。

これは、私が
かけてあげなきゃいけないって
とても強く、そう思ってた。



その次は
地下の食料品売場に向かう。

まだ和也に
「ただいま」も言ってないのに

夕食は何を作ってあげようかと
考えている。

色んな食材が目に入る中で
私はお蕎麦を選んだ。

引っ越し蕎麦をもう一度
一緒に食べたい…


ドアを開けて
あの日のように

「一緒に食べてください」と
お願いしたい気分だった。


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