白い翼と…甘い香り
「リカぁーーー!」
タクシーを降りたとき
私を呼ぶ懐かしい声が
空から降ってきた。
とても大きな声で叫んで
でも
ハッキリと私を呼んだ。
見上げたら
すごく驚いた顔の和也が
身を乗り出すように
じっと私を見ていた。
とても驚いて目を見張り
信じられないモノを見たという
そんな顔をしていた。
どうしてベランダに居たのか
分からないけど
見つかっちゃった。
和也の部屋のドアを開けて
驚かせたかったのにね。
だけど、嬉しくて
「ただいまぁーー!」
こんな大きな声を出したのは
何年ぶりだろうって
そんな声で叫びながら
手を振った。
和也のいる
ベランダに向かって
大きく大きく手を振った。
幸せで踊り出しそうなくらい
両手をブンブンと
振っている私は
今までにないくらい
笑ってるって
ちゃんと自分で
分かっていたんだよ。
そんな私を、何秒かじっと
凝視するように見てた和也が
フッと身体を翻すように
見えなくなって…
きっと我慢が出来なくて
駆け出した事が分かった。