白い翼と…甘い香り

和也はエレベーターの1番奥の壁に
もたれたまま動かなくて
まだ少し呼吸の乱れた表情で

「焦ら、せんなよ…」

と、眉間にシワを寄せて
少し睨んだ。


「ごめん、驚かせたくて」

「効果、あったよ。
死ぬほど、驚いた…」

少し、苦笑いをする。


愛が溢れて、愛しさを
めーいっぱい詰め込んだ
そんな、苦笑いだった。


その時、ふいに
ドアが閉まりそうになり
焦った様子で和也は
ドアを押さえた。


少し、距離が
近づいた。



「ねぇ、そのショール
もう季節外れじゃね?」

「まだギリギリ大丈夫かなって
思ったんだけど、ダメ?」

「似合ってるけど
もう、春だよ?」

すぐ目の前で
そう言って笑った。



飛行場で別れたのは
クリスマスツリーを
飾ってた頃だね。

少しだけ
時間が掛かってしまったけど

ちゃんと和也の所へ
帰ってきたよ。

欲しいモノを手放さないだけ
強くなれたかどうか

それは分からないけど


でも
何が大切かを迷わない私に
きっと、変われたよ…




ねぇ

大好き…


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