白い翼と…甘い香り

こんな時になって
私はやっと、気付くんだ。

とってもとっても
大きいと思っていた
和也の気持ち。

私はどれだけ
不安にさせていたのだろう?

私は
数え切れないくらいの
暖かな言葉をもらって

何とかして帰ろうと
目標ができて

帰っても抱き締めてくれる腕を
ちゃんと心で実感して
いつも感じていられた。

貰った言葉に支えられて
気持ちを信じる事が出来て
暖かさが私を変えた。

離れていても
何1つ疑うことなく
信じられた。


和也も
そうだと、思う。

信じていてくれたと
思うんだ。


だけど
信じる気持ちはあっても
黙って送り出してくれた
和也には

待つことしか無かった。
それしか、無かった。

ただの1度も連絡を取らず
音信不通の状態で

それでもただ
待つしかなかった。

信じていたとしても
不安にならないはずがない。

広くて強くて暖かくて
私をいつも
包み込んでくれる和也を

包み込んでるモノは
無かったんだね。

それを、私が
しなきゃいけなかったのに

あの時はまだ
出来なかったんだ。

「帰ってくるから」と
その言葉さえ
告げられなかった。

和也を安心させる言葉
たったそれだけの言葉も

あの時の私は
言えなかったんだね。



震える腕が
それを私に、伝えてくる。

潤んだ目と、かすれた声と
心臓のドキドキは
私のせいだね。

アナタを、どれだけ
不安にさせただろう…

どれだけ、寂しい思いを
したのだろう?

ただ
待っていてくれた和也が
どれだけ不安だったか…


ゴメンね、やっと
気付いたよ…


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