白い翼と…甘い香り

「アメリカはどっちかなって…
空を見上げるのが
クセになってた」

「ごめん…」

「だから、さっきも
ベランダに居たんだ」

「ごめん…、泣かないで」

「泣いて、ねーよ」

「私は…
私は、泣きそうだよ…」

「すぐ、泣くんだな」

「うん、ごめん
遅くなって、ごめんね…」


そう言うと
もっともっと強い力で
抱き締めてくれた。



やっぱり
抱き締められてるのは
私…。

和也を早く
抱き締めてあげたいって
そう思ってたのに

やっぱり
安心を貰ってるのは
私なんだね。




ねぇ
和也の香りがするよ?

必要なモノだけを
集めて作られたような

和也だけが持つ
和也を感じる香り。

その腕で抱き締められると
やっと帰ってきたって
実感できる。

和也の横に
帰ってきたね…




「おかえり…

逢いたかった」



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