白い翼と…甘い香り
和也の言葉を聞かなければ
そんな事、思いもしなかった。
ソファーで話してると
和也は私が思ってる事と
そのまま同じ事を言った。
「恋に落ちるってさぁ
昼メロみたいに
安っぽい言葉って
気がすんだけど
でも、あるんだな…」
そんな事を言いながら
照れくさそうに笑った。
本当は私に何度か
逢ったことがあるんだと
そんな事も話してくれた。
逢ったと言うより
見掛けただけなんだと
付け足して
気になってたと
教えてくれる。
1ヶ月くらい前に
この部屋を借りようかと
思って見に来たとき
たまたま、ベランダに居た
私を見たと言った。
ベランダに
サーフボードを置きたいから
業者に頼んで倉庫を
設置してもらうつもりで
だからベランダの広さは
引っ越しの必要条件なんだって
笑いながら話した。
その時
フェンスの隙間から
隣のベランダに居る私を
見たらしい。
最初は、隣の住人が
どんな人なんだろうという
ごく普通の好奇心から…
だけど、その横顔がどうしても
気になったと話した。
「じっと
空を見上げて
泣きそうな顔、してた」