白い翼と…甘い香り
目が覚めたとき、目の前に
和也の顔があって、驚いた。
ベットの背もたれに
身体を投げ出すように座り
見下げるように私を見ながら
肩を揺するように起こされた。
「まだ、眠い?」
「ん…、大丈夫。
どのくらい寝てた?」
「1時間も寝てないよ」
「でも、帰らなきゃ…」
窓の外を見ても
まだ明るい時間で
でも私は、何時間この部屋に
居たのだろうと心配になった。
「まだ、5時前だよ」
「でも私が来たの
お昼ゴハンの時間だったもん。
管理人さんだって
もう帰って来てるよね」
「うん、さっき
電話してみたら帰ってた。
スペアキー持って来てくれた」
和也はテーブルの上に
置いた鍵を指差した。
「何で?」
「どうしても
急用が出来て出掛けて
隣りだから頼まれたって
言っといた。
リカ、すげぇ気怠そうに
寝てたから」
「そう、ありがとう」
ふと
無邪気に笑う和也を見て
何だか少し
悲しくなった。