白い翼と…甘い香り

「じゃあ、またね」と
スペアキーを手にした私に

和也は
子供みたいな顔をして

「やっぱり帰したくない」
と、我が儘を言った。



少し切ない顔をして
首を傾けて目を伏せて

「指切りしてよ」
と小指を差し出す。



「いいよ
何を約束するの?」

って、精一杯に
大人の顔をして答えたのに


「俺の気持ちを
疑わないって約束して」

って…


「………」

だから何も
言えなくなる。




アナタの
何を、疑うの?


そんな気持ちは
欠片もないのに…


「私の気持ちも
疑わないで…」

その言葉は恐くて
図々しくて

自分を責めて
どうしても言えなかった。





小指をつないでると
ソコから流れ込んでくる
気持ちが暖かくて

また泣きそうになる。


小指をつないだまま
もう一度また、キスをした。



繋がれた小指を
ほどかないまま

それでも手の平を
包み込むように握り締めて

「リカが、大好きだよ」って
何度も何度もキスしながら

お互いの存在を確認し合って
気持ちを確かめ合って

そうしなければ不安で
少しの時間も
離れていられないような
苦しい気持ちになる。


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