白い翼と…甘い香り
「じゃあ、約束ね」
と言いながら
帰ろうとするのに
つないだ小指が
なかなか離せなくて
どこか1か所でいいから
いつも繋がって居たいなんて
どうしようもない事を
思ってる。
いつまでも
そうして居られなくて
思い切って笑いながら
「また連絡してね…」
とドアを閉めた。
ドアを
閉めた瞬間から寂しくて
隣りの部屋へ
帰るだけなのに遠くて
廊下をとぼとぼと歩きながら
何度も後ろを振り返った。
和也はもちろん
姿を見せなかったけど
私の部屋の
ドアが開いて閉まる音を
じっと玄関先で
聞いてる気がする。
だから私は
出来るだけ元気に
ドアを閉めた。
また、会える。
大好きだと
言ってくれる人に
すぐまた会える。
早く、会いたい。
不安や心配を抱えていても
心のどこかは
ポカポカと暖かくて
ただ、誰かを想う…
そんな当たり前の気持ちに
私の全部が救われたみたい。
隣りの部屋で今
和也は、何を
思っているのだろうと考えて
それだけでキュンとなる。
誰かを、想う…
それが
こんなに暖かいって
思い出させてくれた
和也が
愛しくて
たまらなかった。