白い翼と…甘い香り

私はこんなに
泣き虫じゃなかったのに。

色んな事を我慢するのは
慣れてたのに。


優しくて
暖かな物に触れてしまうと

もっともっと
ソコに浸かっていたいと
思ってしまう。

今まで
無くても平気だったのに

1度溶け出した気持ちは
もう固められなくて

どんどん流れ出してしまう。


たった
1行のメールの文字が

もっと私の心を
溶かして行く…


込み上げてくる気持ちを
抑えられなくて

どうすればいいか
分からなくて

メールじゃなくて
電話を鳴らした。


やっぱり
すぐ隣りのベランダで
着信音が聞こえる。

ほんの数秒で
「もしもし…」と

愛しくてたまらない
甘い声が聞こえた。



「電話して
大丈夫なの?」

と、主人が居る事を
気遣ってるような言葉を
少し小さな声で言った。





「ねぇ…
それじゃ泣きたい時は

私はどうすればいいの?」



いきなり
こんな事を言うのは
間違っていたのに

溢れ出る気持ちが
抑えられなかった。


涙混じりの声に、和也が
気付かないはずもなく

「リカ…、泣いてんの?」

と、少し
心配そうに聞いて来る。


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