白い翼と…甘い香り
「キャッ、何やってるの!
危ないわ、やめて!」
和也は、ベランダの
仕切りを乗り越えて
飛び込んで来た。
一瞬の
出来事で…
だけど
和也には羽があるの?と
思えるくらいに
鮮やかに危な気なく
ふわりと着地した。
あまりにも突然で驚いて
私はその場に座り込んで
腰が抜けたみたいに
動けなかった。
心臓が止まりそうなくらいに
驚いた。
何て事を
するんだろう?
何て
無茶な事を…
今度は驚いて
和也が無事な事に安心して
涙が出た。
「げ…、玄関から来れば
いいじゃ…な…」
いいじゃないの!!
驚かせないで!!
と言おうとしたのに
鮮やかに着地をした後
何の迷いもなく
私に駆け寄り
座り込んでた私を
抱き締めた。
頭を抱えるように
撫でながら
優しくフワリと
包み込むようにしながら
強い力でギュっと
抱き締めた。
「どうして
そんな危険な…」
「だってリカが
泣いてたから…」
和也のたった一言に
心が震えた。
抱き締められているのは
身体だけじゃなく
心を
抱き締めてくれてる。