白い翼と…甘い香り
「リカ、携帯は?」
私を抱えるように抱き起こして
そんな事を聞く。
携帯は左手に
握ったままだった。
「持ってる」
「んじゃ、家のカギは?」
私の手をギュッと握って
引っ張りながら
勝手にどんどんと
リビングへ入って行く。
「カギは玄関にあるけど…?」
ホントだ、俺んちと造りが
逆だな~なんて言いながら
だから勝手が分かると
いう感じでベランダに鍵をかけ
私の腕を引っ張り玄関へ向かう
靴箱に置いたカギを握り
「これ?」と聞くから
「うん」とうなづく。
「取りあえずカギ閉めて
携帯持ってたら大丈夫だろ?」
「…何、が?」
「俺んち、連れてく」
「えっ?」
「眠れそうに、ねぇから…」
和也はドアを開け
自分が先に出ると
廻りを見回した。
「誰も、いねぇよ」
と言いながら強引に手を引き
ドアを閉めた。
カギは、勝手に閉まる。