白い翼と…甘い香り

大人しく玄関でカギを置くと
背中を向けて廊下を進みながら

「上がって来て」
と静かに私を誘う。

その細い背中が
たまらなく愛しくて…

和也の後ろを歩きながら
リビングへ入った瞬間に
止まらなくなった。



「ゴハン食べた?」

と聞きながら
振り返った和也に

「すごく
逢いたかったの…」

と、抑え切れない
言葉が飛び出した。



「さっき別れたばかりなのに
私って変なんだね…

逢いたくて逢いたくて
たまらなかった」



和也になら
どうしてこんな

素直な言葉を
言えるのだろう


自分でもそれが
不思議だったけど

ただ逢いたいという
その言葉に

私の想いがぜんぶ
詰まってる気がして

口に出してみると
なんだか


もっと想いが募って
泣きそうになる。


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