白い翼と…甘い香り

首筋を這っていた手が
動きを止めて

和也の身体が
背中から覆い被さるみたいに
身体中を抱き締めた。


イスに座ったままの私を
背中からぜんぶ
抱き締めるみたいに

優しくて大きな腕に
ふわりと包まれる。


「和也、抱いて…って

俺の耳許で
甘い声で誘ってみな」


「そんなの…」


「言えねぇの?

和也、イカせて…
でもいいけど?」


「……」


頭を痺れさせるような
身体を疼かせるような

そんな言葉を
私に言わせようとして
耳許で囁く。



和也の両手は
身体のラインを
なぞりながら…


「なぁ、俺の事
その気にさせてみろよ」


わざと乱暴な言葉を
使うみたいに
私を支配しようとする。



身体じゃなく
心を縛られてるみたいに
捕まえられる。


それが、心地いい…



身を任せてしまうのは
簡単だって事を知ると

支配されても構わない。


支配される気持ちを
不安なく受け入れられるのは

間違いなく
「愛」があるからで

そこにはきっと
「安心」も含まれる。



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