白い翼と…甘い香り

半分は、ビールと
他のお酒で埋まってる。

でも、思ってたよりも
食材が多かったし
色んな香辛料や調味料があった

料理を好きだと言ったのは
まんざらウソでも無いみたい。

でも、やけに果物とか多くて
チーズやスモークサーモンとか

いかにもお酒のアテって
感じの物は多いのに

野菜やおかずになりそうな物は
少なくて何を作ろうかと迷う。


「ねぇ、何が食べたい?」

「えっ? 作ってくれんの?」

「作れる、物なら」

「いいの?」

「いいよ~」



ゴハンを作る。

そんな当たり前の事に
こんなに嬉しそうな
顔をしてくれるんだね。

和也は何種類か
食べたいメニューを言ったけど

買い出しに出なきゃ
材料が揃わない物ばかりで
頭を悩ませた。


最後に
「ハンバーグは?」
と聞いた。

それなら
何とかなるかも…?


自宅の冷蔵庫を頭に浮かべて
確か挽き肉の買い置きはあるし

野菜もあるはずだし
時間もあまりかからない。

「和也は、炊飯器を
セットしててよ。

私、家に帰って
必要な物を取ってくる」


「ホントに? いいの?」

「うん、すぐ取ってくるね」


私は、隣りの部屋へ食材を
取りに行くだけなのに

「気をつけろよ」
と言い

「すぐ戻って来いよ」
と笑い

玄関先で、カギを握った私に
キスをした。


誰かが
私を待ってくれてる…

それをちゃんと、言葉にして
分からせてくれる。


そんな和也の一言が嬉しくて
和也が何かを言うたびに

「好き」が増えていく。


積もった言葉を1つ1つ
書き留めておきたいほど

私には、とても
大切な言葉だった。



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