天神学園大聖夜祭
啓太が真面目な顔でアリスカの顔を見つめ、アリスカは周囲が驚くくらいに顔を赤らめる。

二人の間でどんな会話が交わされたのだろう。

ソフィアの腕の中では、すっかり満腹になったのか、シーがクァ…と欠伸をする。

手触りのいい毛並みを撫で付けながら、ソフィアはクスッと微笑んだ。

アスラと迦楼羅は、穏やかに流れる会場の時間を心地よさげに眺めている。

学園の平和と安寧を守る陰の立役者も、今日ばかりは楽しいひと時を過ごせたようだ。

陰の立役者がそうなら、表の立役者たる月は今も忙しそうにしている。

生徒会役員にあれこれと指示を出しつつ、傍らでクツクツ笑う穹にいつもの怖い笑顔。

ラエクスの周囲には今も生徒達の人だかり。

そして皇帝のそばにも女子生徒の人だかり。

普段秘めたる想いを女子生徒達に告白され、ヘタレの皇帝は対応に四苦八苦している。

後程、月のジェノサイド尋問が楽しみだ。

そんなお兄ちゃんをハラハラしながら見守る陽を、きょうこも不満げに見つめる。

トラブルメーカーの癖にチヤホヤされていたい、きょうこらしいと言えばきょうこらしい。

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