天神学園大聖夜祭
火鍋という料理は秋雨も知っている。

中央を太極の『陰陽』に見立てて仕切った金属製の丸鍋の中に、白湯(パイタン)と呼ばれる白濁のスープと、唐辛子や山椒など調味料を沢山入れた辛い味付けの紅湯の麻辣(マーラー)スープの2種類を別々に入れて煮立て、好みの食材を好みのスープに入れて煮て食べる鍋料理だ。

しかし、この鍋は夕曰くEvolutionらしい。

料理の癖に進化するとは何事か。

神を冒涜する行為である。

というかビジュアル的に見て、夕が作ったこの鍋料理は火鍋ではない。

いや料理ですらない。

真っ赤な液体が、気化するほどに煮えたぎっている。

世間一般には、このようなものは『溶岩』というのだ。

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