天神学園大聖夜祭

雪菜と郷が立っているそばのテーブルには、数十人分の料理が並べられていた。

しかし今では全ての皿が空っぽだ。

雪菜はアイスクリームやシャーベットしか食べていないし、郷もそれ程大食漢ではない。

にもかかわらず料理が平らげられているのは。

「あー…クロ、シロ…程々にしておけよ…他の生徒達も料理食うんだからな…」

郷が呟くと同時に、彼の背後に二匹の狐霊が実体化し、『キシャアァアァア！』と声を上げる。

郷に憑依している狐、クロとシロ。

この二匹の狐霊のせいで、他の生徒達は冬の寒さとは違う、奇妙な悪寒を感じていたのだ。