天神学園大聖夜祭
寒風吹き荒ぶ校庭。

その一角。

「オラァッ!」

稽古真っ只中。

空手着姿の丹下 龍太郎(たんげ りゅうたろう)の上段回し蹴りを、城山 小夜(しろやま さよ)はヒラリと回避する。

回避しながら。

『ねぇ龍太郎君、この招待状どう思う?』

小夜は制服のポケットから例の招待状を取り出した。

『クリスマステロなんて、物騒な名前だよね。何か危ない事とかあるのかな?』

龍太郎の怒涛の攻撃を華麗にかわしつつ、小夜は表情に浮かべる。

確かにテロなんて、どこか犯罪じみた匂いがする。

だが常軌を逸したお祭り騒ぎは、この学園では日常茶飯事。

それこそ夏休みの期間中でも、テロといっても差し支えないくらいの大騒ぎは何度もあった。

それ程恐れる必要はないのかもしれない。

それに。

『私は…』

ポッと頬を赤らめる小夜。

『龍太郎君とだったら…このイベント参加したいなぁ…なんて』

「……」

龍太郎は攻撃の手を止める。

「小夜、何が言いたいかさっぱりわかんねぇ」

『はぁ…』

小夜はガックリと項垂れた。

『龍太郎君の朴念仁』

「え?何だって?」

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