花火が教えてくれた【企】
カーテンを開けるとそこにはさくらが居た。
「………。」
そしてその姿に目を奪われた。
「……やっと起きた。」
藍色の浴衣に花火の光が当たって、さくらを照らす。
髪もいつもと違い、キュッとまとめて上げてある。
今のさくらは怒っているはずのに可愛い。
…というか可愛すぎて困る。
「暁ったら全然起きないんだから。花火始まっちゃったよ。」
そんな俺を他所に、さくらはいつものように顔をプクッと膨らませて抗議する。
だけどそんな抗議も今の俺には届かない。
「暁?」
さくらに見とれて動かない俺に気付き、彼女は俺を見上げた。
…ドキッ!!
まずいって…!!
「な、なんでもない!」
思わず声が上擦り、露骨に目を逸らす。
これじゃ、なんかあるって言ってるみたいだ…。
「そう……。」
何か察したのか、俺の反応に彼女は元気なく答える。
そしてそのまま花火に目を移した。