花火が教えてくれた【企】


今日はどちらも何も言わず、花火の音だけが聴こえて来る。

それが心地好くて…

ずっとこのままで居たいと思ってしまう。

       :
       :

そのまま…ゆっくりと時間は流れて、花火はスターマインを迎えた。

『スターマイーンッ!!』

いつもなら二人で茶化す、スターマインのアナウンスも今は遠くで聴こえる。

そんな話よりも、今、さくらに聴きたい事があった。

「さくら?お前なら…今、線香花火になんてお願いする?」

突然の俺の言葉に、さくらは一瞬ビクッとして、俯いたまま小さな声で答えた。

「どうして?」

「…俺が知りたいから。」

「暁が教えてくれたら答える。」

「………。」

…そう来たか。

…と、言っても。
もう願い事は決まっていた。

言葉は変わっても…昔から変わらない、俺の願い事。
それは…素直になれば、簡単な事だった。


「…来年も、再来年も、ずっとさくらと花火が見たい。」


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