花火が教えてくれた【企】
「…今の………。」
ほら…見ろ。
案の定。
さくらは間違いなく不機嫌だった。
その証拠に、俯いたままだから表情までは解らないけど、声が低い。
「ん…。何で家の番号知ってんだろね…。」
どうせ誰かが教えたんだろうけど、余分な事をしてくれるよな…。
「……行くの?」
「行かないよ。」
「そう……。」
さっきまでのちょっといい空気は何処へやら…。
さくらの機嫌は最高潮に悪い。
だいたい何でこんなに機嫌が悪くなるんだ?
ホントに解らない。
…だけど。
笑ってて欲しい。
そう…思ったりするんだよな。
「…さくら、とりあえず中に入らない?いつものアレ、淹れるから。」
「……。」
その俺の言葉に、さくらはやっと顔をあげる。
「ちゃんと用意してあるよ。」
それで機嫌直してくれたら一番いいんだけどな…。
「……仕方ないなぁ。」
俺の気持ちが通じたのか、さくらはそう言いながら、やっと部屋へと入る。
俺もホッと一息ついて、中へ入った。