花火が教えてくれた【企】
「あった、あった。やっぱり花火は線香花火だよね。」
さくらは、コンビニの花火の棚から線香花火を見つけて満足そうに笑う。
「他の花火は?」
「うーん…今日はいいや。」
「ふうん?」
珍しいな。
「何よ?」
俺が不思議そうな顔をしたせいか、さくらはぷくっと顔を膨らませて俺を見る。
「いや、珍しいな…と思って。」
「珍しい??」
「うん。いつもなら線香花火以外も買うだろ?それで………。」
¨それでガキみたいに海で振り回すんだから…。¨
と、続けようとして、さくらの顔を見た瞬間に思わず言葉を引っ込めた。
「……今日はいいの。」
かなり不機嫌な顔で発せられた言葉には刺すら感じられる。
俺、そんな変なこと言ったか……?
いつもと変わらないはずなのに、今日に限って、さくらはすぐに不機嫌になる。
「さ、行くよ。」
「お、おう……。」
そう言ってさくらは俺を置いて先にコンビニを跡にした。