花火が教えてくれた【企】
覚えてたんだ…。

      ***


¨さとくん、これがおちなかったら、ずっといっしょだからね?¨

¨うん。¨

¨んじゃあいくよ?¨

¨いいよ。¨


¨¨せーのっ。¨¨


二つの小さな火の玉は、小さな火の粉をパチパチッと飛ばして…
夜の海辺に小さな花を二つ咲かせた。


¨きれいだね?¨

¨うん、キラキラしてる!!¨

¨あっ!さっちゃん、バタバタしたら…!¨

¨¨あ……。¨¨


バタバタさせた手を、止めようとした瞬間。
小さな火の玉が一つ、ぽつんと夜の中に落ちた。


¨おちちゃった…。¨

¨うん…。¨

¨どうしよう…。¨


その瞬間。
大粒の涙がポロッと落ちて。
そのまま女の子は大声で泣き出してしまった…。

もちろん、なかなか涙は止まらない。

それでも。
なんとか涙を止めたくて…


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