花火が教えてくれた【企】


¨みてみて、さっちゃん。ぼくのはおちなかったよ。だから、だいじょうぶだよ。¨

¨え?¨

¨ほら。¨

¨ほんとだ!¨

¨おねがいもいっしょだよ。¨

¨ほんと?¨

¨うん。¨

¨じゃあ、ずっといっしょ?¨

¨うん。ずっとずっといっしょだよ。¨

¨うん!!¨


      ***


小さな時に一度だけ。
線香花火が落ちて、さくらが泣いた、あの日。

¨ほんと?¨

…と俺を見た、あの日のさくらと同じ眼だった。

…そういえば、あの日だ。
花火は好きな子と…なんて話をしたのは…。

「遅いかどうかなんて…さくら、さっき俺の願い事教えただろ?覚えてないのか?」

「………。」

「お前が線香花火で泣いた日から…願い事、いつも同じなんだぞ?」

そう。
傍に居れば…

線香花火に同じ願い事を願う事が出来るし。
涙も止めてあげられる。

だから。

俺の願いはいつも、どんな時でも変わらなかった。


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