花火が教えてくれた【企】
「覚えてたんだ…。」
俯いて、嬉しそうにさくらは呟いた。
顔は見えないけど、きっと笑ってるに違いない。
「悪いか?」
悪いって言われても困るけどな。
今更、変えられない。
「別にぃっ。」
─…ぽふっ。
そう言ってさくらはまた俺に抱き着いてきた。
「えへへ。」
「…何だよ。」
俺の顔を見て嬉しそうにさくらが笑う。
…何だよ。
俺まで嬉しくなる。
俺…全然、諦めてなかったんだな。
なんて思ってしまう。
「なんでもなーい。」
「ふうん?」
「気になるー?」
「べっつにぃ。」
「じゃ、教えてあげない。」
「いいですよー。」
時計の針は真夜中26時を回ったところ。
幸せな二人の時間はこれからだった─…