花火が教えてくれた【企】


「ねぇ?今だったら何をお願いする?」

「え…?」

驚いてさくらを見ると、どうやら冗談ではないみたいで、少し不機嫌になっている。
それどころか、不安そうにも見えた。
突然、なんなんだ?

「…あ、解った。もしかして、好きな子を彼女に……とか?」

「へ………?」

しかも、思いもしない願いが飛び出して来た。
思わず変な反応をすると、彼女はいよいよ俺を睨む。

「もう……っ!何でもいいから……!今だったら何お願いするのよ…っ!」

「………。」

そして、ついに逆ギレ。
俺、何かしたか……?

しかも、目にうっすらと涙が見える気がする……。
こんなさくら、見たことない。

だいたい、花火にお願いって何だよ…?
もう26だぜ………?


あぁ、そうか…。


さくらがこうなったのはきっと…

「……もしかして、アイツと何かあったのか?」

…これしかない。

いつも気丈なさくらだけど、彼氏の事となると誰よりも弱い。


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