花火が教えてくれた【企】
彼女…?
「はぁ……。」
朝から深い溜息が出てしまう。
結局、昨日の晩、さくらはあのまま帰ってしまった。
もちろん電話には出ないし、メールも返ってこない。
こんなの初めてだった…。
「暁くん、元気ないね?」
「ん…?あぁ、おはよ。」
「おはよ。」
ニコッと笑顔で挨拶し、俺の隣に座ったのは会社の同期。
沙夜は席も隣のせいか、仲がいい。
「朝から何かあったの?」
「いや…別に。」
「…その割には何か落ち込んでない?」
「………。」
「もしかして、彼女…とか?」
ズバッとやなとこを…。
「違う。てか、彼女いないし。」
さくらは残念ながら彼女じゃないもんな…。
いや、残念ながらってなんだ?
だいぶ前に諦めたのに…。
はぁ…。さくらが変だと俺まで変になる。
「ふうん…?」
あまり答える気のない俺に沙夜は首を傾げた。
「ま、そうだよねー?彼女がいたら、私と花火なんて行かないはずだもんね?」
「ん?あぁ、そうだな。」