Kiss


好かれてると思うのに、次の瞬間にそんな自信も溶けて消える。


どうしたらいい?



私の目の前まで来た彼が、穏やかに微笑みを浮かべて私の手を取る。


「冷たいな。」

「こうちゃんのが冷たいよ。」


やっぱり、待っててくれたんでしょ?


「嘘つき。」

真っ直ぐ見上げて呟いた私に、軽く目を伏せて


「知ってる。俺は、嘘つきだよ。」


「・・・・」


そう答えて私の手を自分の頬にあてた。


私の手より遥かにひんやりとした冷たい肌。


「ごめんね?」


「・・・・・」


そう言って軽く手の甲にキスを落としたくせに






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