幕末に来た少女〜
第七話♯池田屋事件
燐が幕末に来てから
九ヶ月の月日が経っていた。

元治元年、六月五日。

池田屋事件が起きた日である。

歴史通り、古高俊太郎を
捕縛して聞き出した情報は
未来で習った通りだった。

だが、今回は燐がいるお陰で
全隊士が池田屋に向かうため
沖田の喀血以外は防げるはずだ。

「平助、 鉢金は絶対に
外しちゃ駄目だからね」

油断大敵というやつだ。

「わかった」

たじろぎながらも
藤堂は返事をした。

「沖田さんは無理しないでね」

山崎にも念を押され
苦笑いをする沖田であった。

〈私は屯所で皆が
無事に帰ってくることを
祈ることしかできない〉

燐は不安を内心に隠した。

〈大丈夫だよね……〉

〈皆が無事に帰って来ますように〉

そうして、皆を送り出した燐は
ただただ、無事に帰って来ることを祈った。
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