幕末に来た少女〜
勿論ですと
燐は返事をした。

「未来はある意味
この時代より
危険なんです」

燐の言いたいことが
分からないといった面々。

「では、皆さんに問います
例えば、刀もさげない方が
ぶつかって来たとして
その人を斬りますか?」

やっと燐の言いたいことが
分かったようだ。

「そんなことしませんよ」

今まで黙って話しを
聞いてた山南が答えた。

「普通はそぉでしょうね
でも、未来では
肩がぶつかったからとか
お金欲しさとか
そぉいった理由で
殺されることが
増えました」

絶句。

それはそぉだろう
自分達の知らない未来が
そんな風になってるなんて
誰が想像出来るだろうか。

「余程のことがなければ
一般人が殺されることは
ないはずです」

燐の言うことは正しい。

「確かにそぉだな」

「未来は便利になり
刀を持たなくなりますが
それに代わる更に
危険なものが
出来てしまいました」

私はこの時代の方が
好きですと燐は言った。

「志しを持たなくなり
他人の迷惑なんて
お構いなし、
自分さえよければ
それでいい
そんな時代に
なってしまいました……」

ずっとしゃべり続けて
いたせいか燐は
ふぅ〜と息を吐いた。

「志や信念を
持っていることは
素晴らしいことだと
私は思っています」

燐が話してる間、
誰一人として
口を挟む者はいなかった。

「出来れば未来には
帰りたくないんです……
此処に居させて
もらえないでしょうか……」

「私が裏切った時は
迷わず斬ってください」

ですから、
お願いしますと
燐は頭を下げた。

「帰りたくない理由は
それだけじゃ
ないですよね?」

流石山南、
勘がいいらしい

その問いかけ方は
ひどく優しい
聞き方だった。

〈山南さん、優しいなぁ。
こんなに優しい
山南さんは絶対
切腹なんてしちゃダメだ……
私はこの運命を変えたい!!〉
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