銀砂
「38.5…はぁ お前はアホか?!
仕事の帰りに川で水浴びしてくるなんて そこ抜けのアホなのかぁ?!」
その日の朝ははるの怒鳴り声から始まった。
端正な顔を歪めながら怒鳴る。「だって 血の匂い嫌いなんです」
赤い顔で抗議する巴
「だってもくそもない!!
お前 一回死んで来い!」
「嫌です」
巴の調子に呑まれムキになっていたはるは首を横にふり落ち着いてから口を開く。
「はぁ…なつとあき呼んで来る絶対 寝てろよ 絶対だからな」
念を押して巴の部屋をでるはるちなみに なつとあきというのは双子の兄弟で兄がなつ弟があき 二人とも紺色の髪を持っていて小萩屋での役割は観察と医療だ はるは巴の先輩にあたる

「なんや 巴 また熱出したんか気をつけなよ はい口開けて」
「あーん♪」
同じ顔の男が巴に話しかける
「自己管理ぐらいできます。
それとあき、その“あーん♪”てのウザいんでやめてください」さりげなく毒を吐き巴は自分で薬を口に含む
「明日には熱も引くと思うから安静にしててね はる見張りよろしく」
「よろしく~」
それだけ言うと二人は仕事に戻っていった。
「「……」」
しばらく沈黙が続き冷たい風が吹き付ける。
「なあ 鴇」
最初に切り出したのははる
「何です??」
巴は上半身を起こしたまま返事する
「人斬りは楽しいか??」
唐突の疑問にも関わらず彼女は即答した。
「つまらないです」
言葉とは裏腹に至極楽しそうな笑顔を携え言いきる。
「そうか…今日は冷えるな
もう寝ろ」
「おやすみなさい。はる」
巴は寝息をたて寝はじめる
「おやすみ 巴」
はるは巴を優しく見つめ呟く


翌日
「なつ あき ありがとうございます。」
巴は満面の笑みで礼を言うと町に出掛けて行く。



彼女(人斬り)の幸せの終わり
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