二つの世界、分かつ門
見つめるそこは、漆黒のなか紅に浮き彫りされていた。
しかし何かがおかしい。

・・・静かすぎる

先ほどまで轟いていた騒音はやみ、悪鬼の突き刺すような咆哮もない。
その瞬間、アゼルダは理解する。

終わったのだ
行ってしまったのだ

この戦争の勝者は“悪鬼"。
勝者は敗者を引き連れ、己の国へ帰って行ったのだ。

そう、“無の牢獄"へーーー。

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