二つの世界、分かつ門
第一章

始まりの日

それは突然のことだった。
誰も予想してない、それでいて、ひどく怯えていたこと。

その日、アゼルダの国シャンドリスは敵に侵攻を赦してしまった。

それはあり得ないことだった。
西は海、東には越えることが不可能と云われる『境界の森』。
南には、底が見えない『警告の渓流』。

そして北には、誰も寄り付くことのない、「死の山脈』。

シャンドリスはここ数百年、敵に侵略されない徹底的な防御を誇っていた。

恵まれた地形。シャンドリスは、長らく戦争というものを忘れていた。


ーーーその油断が、悲劇を招いた。





敵は、陸から侵攻してきたのではない。





空からきたのだ。








敵は、“人間”ではなく“悪鬼”だったーーー。
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