~夏の思い出~ 君に、初恋。【完結】
じいちゃんはまだ若いときにばあちゃんを亡くして、男手ひとつで俺の親父を育てたらしい。
幼い俺から見ても、厳しそうな人だった。
そんなじいちゃんが目にシワをためて笑うのが大好きだった。
「唯は優しいから、じいちゃんからお願いがあるんだ。」
ある日、じいちゃんが言った。
「なに?じいちゃん。」
大好きなじいちゃんに頼まれて断ることなんてしない、とまだ小さいくせに思っていた。
「唯が忘れなかったらでいいんだが。
じいちゃんが死んだら、姫の相手をしてやってくれ。」
「うん!任せてよ!」
そう答えれば、じいちゃんはやさしく笑って「やっぱり唯は優しいな。」と頭を撫でた。