~夏の思い出~ 君に、初恋。【完結】
『とにかく、妃には優しくしてやってくれ。』
親父の声は、初めて聞くくらいに切なげだった。
『俺はもう、触れることはおろか、話すことも…見ることすら出来ないんだ…』
「親父…」
妃は、元気だ。
明るくて、俺の生きる希望にだってなりそうなんだ。
じいちゃんが死んだのに、今こうしてこの家にいられるのは妃のおかげなんだ。
「…妃には、いっとくよ。」
『ああ…よろしく頼んだ。』
静かに、電話が切れた。
…いろいろ、驚いた。