~夏の思い出~ 君に、初恋。【完結】
ぜんぜん実感が持てなくて。
眠っているみたい、じゃなくてホントに眠っているんじゃないだろうか。
じいちゃんが、「驚いたか?」と笑いながら起き上がるんじゃないだろうか。
そう考えてしまうほどで。
じいちゃんはうっすらと微笑みすら携えて死んでいた。
俺は結局、通夜や葬式が終わっても一粒の涙も流さなかった。
遠い親戚には「世話になったのになんてやつだ」という人もいたけど、実感が持てないんだからしょうがない。