~夏の思い出~ 君に、初恋。【完結】
「その浴衣にその帯、その下駄…。すげえ似合うな。」
「ありがとうございます。」
店長は妃からやっと目を離して、俺を見た。
「兄ちゃん、兄ちゃん。」
「はい?」
レジの奥に、引っ張られる。
うわ、と。
「…兄ちゃん、いい女捕まえたな。」
奥で何やらゴソゴソしながら、声だけをこちらに投げてくる。
妃をちら、と見てみたら目を輝かせながら店内を見ていた。
「…捕まったんすよ。」
俺が捕まえた訳じゃ、ないんだ。