~夏の思い出~ 君に、初恋。【完結】
懐かしい、赤い屋根の家
道が、わかんねえや。
いっつも車できてたから、道をよく覚えていない。
じいちゃんちのことで覚えてるのは、屋根が赤くて、この辺では珍しい二階建てだったってことくらい。
土地が余るほどあるこの辺には、平屋が多い。
だれか、人に聞いてみるか~
そう思って、道端にいるおばあさんに聞いてみた。
「ああ、赤い屋根ね。確か、東条さんのお家だったかしら?」
「知ってるんですか?」
「ええ。三年くらい前に、なくなってるわよ、あそこのおじいさん。」
「…知ってます。俺の、じいちゃんなんで。」
「あ…そうなの?なんだか、ごめんなさいね…。」
「いえ……」
おばあさんは、分かりやすく道を教えてくれた。
じいちゃんちは、周りよりも少し高いところにあって、道をまっすぐ行けば見えてくるらしい。