~夏の思い出~ 君に、初恋。【完結】



「でも、でも、唯と離れるのは嫌です……」




はらはらと涙を落とす妃を、こんなときでも愛しいと思う。



「妃、泣くなよ…」

「唯のせいですってば…」






ふ、と手を伸ばす。


――妃に触れたかった。





「あ…」









だめ、だ。


妃の体がもう、向こうが見えるくらい透けている。





「触れねえ…」

「っ……。」



妃が泣く。




俺も、泣く。



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