~夏の思い出~ 君に、初恋。【完結】
「水が綺麗で。心が休まります。」
何か懐かしいものを見るような、少し儚げな、妃の顔。
「………、」
言葉が、出ない。
妃に触れようとしても、その手はひやりとした空気のよう。
妃は確かに、ここにいるのに。
「…涼しいでしょう、ここは。」
「あ、ああ。」
「もう少し、涼むといいですよ。帰ったら、お風呂を沸かしますからね。」
妃はいままでに、どんなものを見てきたんだろう。
なぜか、そんなことを思った。