~夏の思い出~ 君に、初恋。【完結】
ふう、とため息をつく。
妃が、目を細めて俺を見ていた。
「あ、私お布団を仕舞ってきますね。」
「え、俺がやるよ!」
「唯は屋根に上がれないでしょう?」
ふふふ、と笑われた。
「ちぇ。じゃあ、こっから見てる。」
「…分かりました。すぐ、ですから。」
ふわっと風が吹いたかと思うと、妃はもういなくなってた。
す、と目線をあの赤い屋根に向ければ、布団が控えめに飛んでいるのが見えた。
あれ、何も知らない人が見たら超常現象だよな…
なんて思いながら、妃が奮闘している姿を思い浮かべて笑った。