~夏の思い出~ 君に、初恋。【完結】
日が落ちる前には、毎日二人で山を登った。
あの木に登ったり、川に足をつけて涼んだり。
「唯!夕日が綺麗です!」
「お、まじ?」
妃のお気に入りは、あのでっかい木の上のほうの枝。
俺は、木には登ったり登らなかったり。
どっちかって言うと、川のほうが好きだ。
妃に呼ばれて木に登ると、向こうに見える山に日が沈んでいくところだった。
「…綺麗ですね……。」
そう呟く妃は、今にも泣き出しそうな目をしていて。
俺はまた、妃が消えるんじゃないかと思った。